
トレンドフォローとは、トレンドの方向にポジションを取る手法です。相場の流れに乗ることができれば、大きな利益が望めます。
しかし、エントリーした途端にレートが逆行し損切りになった経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
相場の性質や原理を理解して、トレンドにうまく乗るためのコツをご紹介します。
チャートは波でできている
チャートを観察すると、レートは上昇と下降を繰り返すことがわかります。通貨ペアによって多少の癖はあるものの、どのチャートを見ても一方的に上昇、あるいは下降しかしていないチャートはありません。
では、どうして上昇と下降を繰り返すのか。それは単純に言うと、需要と供給のバランスによるものですが、根底には相場参加者の相場心理や思惑があるからです。
相場に好材料がもたらされると買われ、レートは上昇します。ある程度上昇すると安値で買って保有していた参加者には目標達成感が湧いてきます。
また別の参加者は、上がり過ぎなのでもう下がるかもしれないと思う不安から、早く利益を確定したいと考える人もいるでしょう。買いポジションの決済は売りですから、買いポジションを決済するとレートは下落していきます。
レートが上昇し、その後下落して半値くらいになると、今度は割安になったので買いたいと思う相場参加者が出てきます。買われ始めるとレートはさらに上昇していきます。
こうして、上昇と下降を繰り返すことにより、波を形成するのです。
押し目戻り目とダウ理論
先ほど説明したように、上昇トレンド中であっても、細かく見ると波を描いてレートが上昇していきます。この一旦の下落局面を押し目といいます。
戻り目は、下降トレンド中の一旦の上昇局面を指します。上昇トレンドで買う場合は、押し目のポイント付近を狙うのが理想的です。
しかし、どこまで押してくれば買ってよいのかが問題です。上昇に対して半値付近まで押してから上昇に転ずる場合もあれば、フィボナッチでいうところの61.8%まで深く押す場合や38.2%の軽めの押しで上昇に転ずる場合があります。
この局面では、短期足のチャートパターンを良く観察します。下落できないサインであるダブルボトムやトリプルボトム、あるいは下ひげがたくさん出るなど、ローソク足の形状をよく観察し押しを判断するようにします。
では、深く押しが入り前回の安値を下回ってしまった場合はどう考えればいいでしょうか。
そこで重要なのが、ダウ理論です。ダウ理論は6つの基本法則からなるのですが、その中でも重要なのが、「トレンドは明確な転換シグナルが発生するまで継続する」という法則です。
例えば、上昇トレンドが発生している状態とは、安値が切り上がり高値が切り上がっている状態を言います。深く押しが入り、直近安値を割ってきた場合、上記法則の転換シグナルの発生と考えることができます。
こうなった場合は、上昇トレンドは一旦終了となるため、相場参加者の多くは、下落目線に切り替わる可能性がありますので、買いエントリーは控えた方がいいでしょう。
時間足とエントリーポイント
トレードする時間足だけを見るのではなく、その上位足も見て相場の流れを把握しておく必要があります。例えば、1分足トレードをする場合は、上位足である1時間足の状況を確認しておいた方がいいでしょう。
1分足だけを見てトレードすると勝率が安定しません。トレンドが継続する根拠が薄いからです。下位足は上位足の大きな流れに飲み込まれていく性質があります。
なので、1分足の上位足である1時間足にトレンドが出ている場合、1分足がそれに飲み込まれて、トレンドが継続する可能性が高いと言えます。
1時間足が高値を更新した後、一旦押しが入り、押しから上昇して短期移動平均線(20期間等)の下から上に出てきた状態が、エントリーする上での1時間足の理想的な形です。
1時間足の確定を待って、次の1時間足が陽線になることを期待し、1分足でタイミングを取ってエントリーします。狙い目は、1時間足が確定後、その終値を一旦切って再び上昇し終値を越えてきたタイミングです。
利益確定と損切りのポイント
損切りのポイントは、買いエントリーであれば、上昇トレンドが崩れるレートの下に置きます。つまり、押し安値の下に置きます。
利益確定のポイントは、損切りのPipsに対して少なくとも1:1以上になるように決めます。できれば1:2以上になるのが理想的です。
このように損失と利益の比率をリスクリワードレシオと言います。利益を増やす上で、勝率も重要な要素なのですが、それ以上に、リスクリワードレシオはとても重要な要素です。
10トレードで4勝6敗だったとします。勝ちトレードの平均獲得Pipsが20Pips、負けトレードの平均損失Pipsが10Pipsだったとすると、リスクリワードレシオは1:2(負:勝)になります。
この場合の収支は、20Pips×4勝-10Pips×6敗=80-60=20Pipsとなります。つまり、勝率は50%以下でもリスクリワードレシオを高めることにより、収支がプラスになるという事です。
以上のことから、損小利大のトレードを心掛けることがとても重要だという事が理解して頂けると思います。多くの常勝トレーダーは、リスクリワードレシオを強く意識してトレードしています。
チャートソフト(MT4)とインジケータ設定
トレードをする上で必要不可欠なのがチャートソフトです。
世界的にメジャーなチャートソフトがMT4(MetaTrader4)です。ロシアのMetaQuotesSoftware社が開発した無料で使えるソフトウェアです。
海外のFX業者では、ほぼどの業者でも利用が可能なのですが、国内のFX業者では楽天証券など一部のFX業者でしか利用できません。
国内のFX業者は、それぞれ自社製のトレードツールを用意しています。使い勝手については個人の好みにより評価が分かれるところです。本格的にテクニカル分析をしたい場合は、MT4の利用をお薦めします。
トレンドフォロー手法によるトレードをする場合は、MA(移動平均線)とボリンジャーバンドがあれば十分です。
MAは、短期と中期の移動平均線を表示します。期間パラメタは、短期が20または21期間、中期が75期間を推奨します。種別は単純移動平均または指数移動平均です。
多くのトレーダーが上記のパラメタ値を使っていると思われます。ですからチャートの値動きを観察すると、MAで反発あるいは一旦止まることが多いです。
ボリンジャーバンドは、±1σから±3σを表示します。このインジケータを表示することで、相場のボラティリティ(価格の変動幅)を視覚的にとらえることができます。
ボリンジャーバンドは、スクイーズ(収縮)とエクスパンション(拡大)を交互に繰り返す性質があります。エクスパンションが始まると相場に勢いが出てきたことが視覚的に分かりやすくなります。
このような相場環境の時にトレンドフォロー手法でのトレードを仕掛けます。
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トレンドフォロー手法によるトレードのコツ まとめ
トレンドフォロー手法を使ってトレードする場合は、トレンドが発生している相場環境かどうかをしっかり把握することが重要です。
トレードはサーフィンと似ています。波が小さい凪の日は波乗りに適していません。また天候が悪く大波が押し寄せている場合も波に乗るのは容易なことではありません。
相場に、「オシメ取れれば一人前」という格言があります。蛇足ですが、オシメは赤ちゃんがする「おしめ」と相場の「押し目」を掛けています。
相場の押し目を見極めて、安定したトレードができるようになりましょう。