ストキャスティクス(オシレーター系テクニカル分析)

ストキャスと省略して呼ばれることもあるテクニカル指標のストキャスティクス。過去の値動きをもとに、現在の価格が高いのか安いのかを判別します。
 
「買われすぎ」「売られすぎ」を判断することができる指標で、天底を判断するために使用しているトレーダーも多くいるテクニカル指標です。
 
ストキャスティクスがどのような計算式で構成されているのか、どのようなインジケーターと相性が良いのかや、ストキャスティクスの注意点等をご紹介します。

ストキャスティクスとは

ストキャスティクスは、オシレーター系のテクニカル分析です。
 
一定期間の過去における高値、安値に対して、現在の価格(当日の終値を用いるのが一般的)がどのような位置にあるかを相対的に判断し、数値化したものです。
 
ストキャスティクスは「%K」「%D」「%SD(SLOW%D)」という3つの指数から構成されています。
 
MT4にデフォルトで実装されているストキャスティクス(Stochastic Oscillator)では、スローイングを1にすることで%Kと%Dを表示することができます。この%Kと%Dの組み合わせを「ファースト(Fast)・ストキャスティクス」と呼びます。
 
また、スローイングを2以上にすることで%Dと%SDを表示することができます。この%Dと%SDの組み合わせを「スロー(Slow)・ストキャスティクス」と呼びます。
 
ファースト・ストキャスティクスは反応が早いですがダマシが多くなります。スロー・ストキャスティクスは反応がファースト・ストキャスティクスより鈍くなりますがダマシが少なくなります。スロー・ストキャスティクスの方が利用しやすいと言えるでしょう。

各指数について

%K

一定期間内に動いた値幅の範囲(最高値~最安値)を100とします。その場合に、現在の価格がその何%のところに位置しているのかを示します。
 
そのため、0~100の数値間を推移します。各指数の中で一番反応が早いですが、その分ダマシも多くなります。
 

%D

ある一定期間(%Kで用いた一定期間とは異なるように設定するのが一般的)を設定します。その期間での%Kを移動平均化した指標です。
 
%Kと同様、0~100の数値間を推移します。%Kより反応が鈍くなりますが、ダマシは少なくなります。
 

%SD(SLOW%D)

ある期間内の%Dの平均を取った数値です。%Dよりも反応が鈍くなり、ダマシも少なくなります。ダマシが一番少ない指数ですが、反応が鈍い点が難点です。
 

各指数の計算式

%K

条件式(%K期間 = KP とする)
 

計算式(現在値-KP日間の最安値)÷(KP日間の最高値-KP日間の最安値)×100

 

%D

条件式(%D期間 = DP、%K期間 = KP とする)
 
1(現在値-KP日間の最安値)をDP日間分計算し、合計する → ①
 
2(KP日間の最高値-KP日間の最安値)をDP日間分計算し、合計する → ②
 
3①÷②×100
 

計算式(まとめ)(「現在値-KP日間の最安値」のDP日間分合計)÷(「KP日間の最高値-KP日間の最安値」のDP日間分合計)×100
計算式(別の言い方)(KP日間ストキャスティックスの分子のDP日移動平均)/(KP日間ストキャスティックスの分母のDP日移動平均)×100

 

%SD(SLOW%D)

条件式(%SD期間 = SDP とする)
 

計算式%DのSDP日移動平均

 

指数の見方

どの指数も、0~100の数値間を推移します。中央線は50です。
 
指数が0%~20(30)%を指している時、「売られすぎている」と考えることができます。逆に、指数が80(70)%~100%を指している時、「買われすぎている」と考えることができます。
ストキャスティクスの「売られすぎ」「買われすぎ」ゾーン
 
価格が上昇傾向にあると、各指数は100を上限に上昇します。逆に、価格が下降傾向にあると、各指数は0を下限に加工します。
 
%Kは価格の変化に敏感で、価格の変化をすぐに反映することができます。ただし、ダマシも多いのが特徴です。短期売買の指標に向いています。
 
%Dは%Kの移動平均をとっているので、%Kよりもダマシが少なくなります。ただし、%Kよりも動きが鈍くなるので、エントリーポイントが最適なポイントよりも若干遅れると考えられるでしょう。
 
%SDは%Dの移動平均をとっているので、各指数の中で一番ダマシが少なくなります。ただし各指数の中で一番動きが鈍くなるので、%SDでエントリーポイントを探るのは適していないと考えられます。中期売買の指標、全体の大きな動きを捉えるのに適していると言えるでしょう。

各期間の標準値

%Kの期間5や9を用いることが多いですが、トレードスタンスによって調整して使用します。
 
%Dや%SDの期間3を用いることが多いです。こちらの数値もトレードスタンスによって調整して使用します。

ストキャスティクスが得意とする相場

ボックス相場(レンジ相場)といった、一定のレンジ内での価格変動や価格の向きが転換された際に明瞭なサインを発します。

ストキャスティクスが不得意とする相場

価格がトレンドを形成している場合、押し目買い(戻り売り)のタイミングで売り(買い)サインを発したり、トレンドがまだ継続しているにもかかわらず、価格調整の動きで売り(買い)サインを発してしまう場合があります。

各指数の利用方法

%K、%Dを単体利用

買いサイン

%Kや%Dが20(30)%を下回っている時、「売られすぎ」を示唆しています。%Kや%Dが20(30)%を割ってから下から上抜ける時、買いサインと考えることができます。
ストキャスティクス %Kや%D単体で利用する「買いサイン」
 
また、%Kや%Dが20(30)%を下回っている位置でダブルボトムを形成した場合、買いサインと考えることができます。
 
価格が最高値や最安値を更新しているのに、%Kや%Dが前回の高値や安値を下回らない場合を、ストキャスティクスのダイバージェンス・パターンと言います。ダイバージェンス・パターンは相場の天底出現を示唆する可能性が高いサインです。
 
価格が最安値を更新しているのに、%Kや%Dが前回の安値を下回らないダイバージェンス・パターンは、買いサインと考えることができます。
 

売りサイン

%Kや%Dが80(70)%を上回っている時、「買われすぎ」を示唆しています。%Kや%Dが80(70)%を上回ってから、下抜ける時、売りサインと考えることができます。
ストキャスティクス %Kや%D単体で利用する「売りサイン」
 
また、%Kや%Dが80(70)%を上回っている位置でダブルトップを形成した場合、売りサインと考えることができます。
 
価格が最高値を更新しているのに、%Kや%Dが前回の高値を上回らないダイバージェンス・パターンは、売りサインと考えることができます。
 

%Kと%Dや%Dと%SDを組み合わせて利用

買いサイン

%Kが%Dと交差(クロス)し、%Kが%Dを上抜ける時、買いサインと考えることができます。%Dと%SDの場合、%Dが%SDを上抜ける時が買いサインと考えることができます。
ストキャスティクス %Kと%D、%Dと%SDの組み合わせで利用するで利用する「買いサイン」
 
また、この交差(クロス)が20(30)%を下回っている位置で発生した場合、より信頼性の高いサインと取ることができます。
 

売りサイン

%Kが%Dと交差(クロス)し、%Kが%Dを下抜ける時、売りサインと考えることができます。%Dと%SDの場合、%Dが%SDを下抜ける時が売りサインと考えることができます。
ストキャスティクス %Kと%D、%Dと%SDの組み合わせで利用するで利用する「売りサイン」
 
また、この交差(クロス)が80(70)%を上回っている位置で発生した場合、より信頼性の高いサインと取ることができます。
 

%K、%D、%SDを組み合わせて利用

買いサイン

%K、%D、%SDがすべて20(30)%を下回っており、かつ%Dが%SDを上抜ける時、買いサインと考えることができます。
 

売りサイン

%K、%D、%SDがすべて80(70)%を上回っており、かつ%Dが%SDを下抜ける時、売りサインと考えることができます。

ストキャスティクスの注意点

ストキャスティクスは、オシレーター系のテクニカル分析です。つまり、レンジ相場による逆張りトレードを得意とするテクニカル分析です。
 
ストキャスティクスを含むオシレーター系のテクニカル分析は、「売られすぎ」「買われすぎ」を判断するため、売りサイン、買いサインは少し遅めに発生します。
 
そのため、ストキャスティクスの手仕舞いサインを待っていると、利益確定が遅れてしまう可能性が高いです。そのため、利益確定はストキャスティクスのサインを待たずに素早く行う必要があると言えます。
 
また、「売られすぎ」「買われすぎ」を判断するオシレーター系のテクニカル分析は、価格の絶対水準とは関係なく現在の相場を特定の期間で切り取って分析します。
 
そのため、相場に強いトレンドが発生すると、ストキャスティクスは上下に張り付いてしまい機能しなくなることがあります。この場合にサインが出ても、戻り売りや押し目買いのタイミング(ダマシ)であることが多いので信頼性に欠けます。
トレンドを形成している時のストキャスサインはダマシが多い
 
トレンドが発生した際にはストキャスティクス以外のテクニカル指標(トレンド系などの順張りを得意とするテクニカル指標)を参考にエントリーしましょう。
 

 ストキャスティクス単体での利用はおすすめできません。他のテクニカル分析と組み合わせることで、精度の高い分析を行うことができます。

ストキャスティクスと相性の良いテクニカル分析

ストキャスティクスはオシレーター系のテクニカル分析なので、同じオシレーター系のテクニカル分析(逆張りトレードを得意とするテクニカル分析)と相性が良いです。
 
オシレーター系のテクニカル分析は、以下のようなものがあります。
 

ASI、ADX、CCI、CMO、CMI、MACD、RCI、RSI、モメンタム、乖離率、ピボット等

まとめ

いかがでしたでしょうか。ストキャスティクスはレンジ相場で力を発揮するテクニカル分析です。
 
現在の価格が「買いの圧力」が強いのか「売りの圧力」が強いのかを一目で判断できます。
 
ストキャスティクス単体での利用だと不安が残りますが、他のインジケータと組み合わせることで、エントリーの精度を高めることができます。
 
逆張りトレードを行う場合には、ぜひとも導入しておきたいテクニカル分析と言えるでしょう。

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